2014年2月11日火曜日

指輪の妖精

さっきからずっと彼女にあげる婚約指輪を眺めている。

サイズは彼女の親友からリサーチしたし、デザインも彼女の洋服の趣味なんかを店員さんに伝えて完璧に彼女が喜びそうなものを買えたはずだ。

でもなあ、どういうタイミングでこの指輪を渡せばいいんだろう。

今度の日曜日の買い物の帰りに「あ、そういえば、これ」なんてさりげなく渡した方が良いのかなあ。

そんなことを考えていると、その指輪から小さい女の子が現れた。

僕は驚いていると、その女の子が「私、この指輪の妖精。なんだかさっきからあなたがため息ばっかりついているから出て来ちゃった」と言った。

「妖精…ま、いいや。この指輪、どうやって渡そうか悩んでいて」

「婚約指輪ってことはこれを渡して『結婚してください』って伝えるんでしょ。あなたが結婚を考えてるのは彼女に伝わっているの?」

「全然」

「ええ!ダメじゃない。それなのに指輪なんて買っちゃったの?あああ、私どうしてこんなダメな男の指輪を選んじゃったんだろう。もし彼女が受け取ってくれなかったらどうするの?」

「そうなんだよね。でも、実は彼女、僕ともう一人迷っている男性がいて、その彼に勝つために先に指輪を渡そうと思って」

「なるほどね。わかった。じゃあ私に良いアイディアがあるわ」

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