月って実際、手で触ってみると冷たいのかそれとも温かいのか。
パッと見は冷たそうなんだけどやっぱり発光しているんだからそれなりに熱さはあるはず。
触ってみるとヤケドするのかな。
それとも寒い日に手がちょうど暖まるくらいなんだろうか。
なんてことをパソコンの画面にカチャカチャと打ち込んでいたら、
「君もそう思うのかい?」と声がしたので、
え? と思うとキーボードのそばで小人がパソコン画面と僕とを交互に眺めていた。
僕が「あ、うん。まあ、なんて言うか。そういう詩のような…」とごにょごにょ言ってると
小人が「なんだ夢のない奴だな。せっかく僕らの計画に参加させてやろうと思ったのに」と言った。
「計画って?」
「待ってて」と小人がキーボードをいくつか両足で押してどこかの荒野の画像に飛ばせた。
「僕ら月への架け橋を造っててそれがそろそろ月に到着しそうなんだ」
「でも僕には何にも見えないけど」
「まあね。もし見えたら君たち人間がすぐに嗅ぎつけちゃうからさ」
「それで?」
「君は月が冷たいのか温かいのか知りたいんだろ?」
「うん」
「僕らもずっとそれが気になってるんだ。それで触りにいこうかなって思って。君もおいでよ。同じ気持ちだったら人間でも歓迎だよ。そういう人間って全然いないんだ」
そんな風にして僕は小人たちと月への架け橋を渡り始めた。
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