クリスマスの次の日の朝のこと。
僕はコーヒーを淹れながら、彼女に「もう今年もあと少しだね」なんて話しかけた。
すると彼女が突然サンタクロースが持っているような白い袋を出してきて「じゃあ今年のイヤな気持ちを集めるわよ」と言った。
僕がキョトンとしていると「ほら、誰かの悪口とかちょっとした気持ちの行き違いとか変なトラブルとか色々あったでしょ。それを全部集めるの」と彼女が言った。
そして彼女は僕のPCを開けてメールやSNSでのやり取りなんかに検索をかけてネガティブな言葉や感情を取り出し、全部袋に詰め込み始めた。
「この辺りにもあるんじゃない?」と言って梅雨の時期のレインコートとか太陽の香りがしみこんだ夏の鞄なんかもチェックして、誰かをイヤな気持ちにさせた言葉とかちょっとしたイライラとかを全部白い袋に投げ入れた。
「これでお芋を焼くと美味しいのよ」と言ってサツマイモを袋に入れて「バターと蜂蜜!」と可愛い声で袋に囁いた。
そして僕の方をチラリと見て「これを言っておくと甘くなるの」と言ってウインクした。
そして僕らはマンションの裏の空き地に向かい、彼女は僕のイヤな気持ちに火をつけた。
あたりには焼き芋の甘い香りが広がった。
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