この醜い男が私をつくった。
男が想像という大きな塊を床に置き、彫刻刀で少しづつ私を削りだした。
最後には、ざらざらした舌で私を舐めて、しっとりとした肌をうみだした。
男は私のことを世界一良い女だと言った。
自分でつくったのだからあたりまえでしょ、と私は言ったのだけど、そうではない、失敗作の女は今までたくさんいたんだ、と言った。
男は私を外に連れ出し、私にたくさんの服を買ってくれた。
私は服というものが大好きだということを知った。
服は私を美しく見せる。
服を着ると私は完成する。
男が、やはり良い女は高い服が似合うと言った。
良い女が高い服を着ると、脱がせることを考えて気が狂いそうになると言った。
あなたが私をつくったのだから、いつでも脱がせられるでしょ、と言うと、服を着るともう俺の女ではないと言った。
男は最後にこう言った。
俺はおまえの服を脱がせる男を深く嫉妬する、そしてその嫉妬こそが俺が生きていく理由だ。
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