夜の東京が好きだ。
みんなが着飾った華やかなお店に行って、知り合いを見つけて軽くシャンパーニュなんかを飲むのも夜の東京の魅力だけど、僕らは騒がしい場所からは早々と退散する。
代々木上原の辺りから代々木公園の中を通り抜けるのも良いし、一本入った遊歩道をぼんやりと歩くのも素敵だ。
季節は秋から冬にかけての少し寒くなり始めた頃。
君は薄めのコートをはおっていて、僕は厚めのジャケットにマフラーをしている。
夜空には少しかけた丸い月があり、たまにその月と目が合う。
並木橋の方も好きだけど、246を越えるのがイヤだから僕らは表参道の方に歩く。
夜の表参道はほとんど人が歩いていない。
僕らは坂を上がったり下がったりして「東京って坂だらけだね」なんて話をする。
コンビニに入るとミュージシャンを目指している金髪の店員が退屈そうにしていて、僕らは温かい飲み物を買う。
キャット・ストリートのあたりに行って座ろうかなと思うけど僕はとにかく明治通りが好きなので、明治通りを北上する。
君は明治通りをずっと歩いた事なんてないから「あ、ここで伊勢丹が出てくるんだ」とか「なんか街がスパイシーと思ったら大久保」とかって結構楽しんでくれる。
目白の辺りにまで来るとなんだか寂しくなってきて、僕らは手をつなぎ夜空へと引き返す。
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