真夜中にリビングの方で何か気配がした。
僕はベッドから抜け出し「誰かいるの?」と言いながらリビングの電気をつけた。
誰もいない。
次の日も真夜中にリビングの方で何か気配を感じた。
今度は息を殺して、声も出さずに電気もつけずに暗闇のリビングに近づく。
何だろう。
テーブルの上で何かが動いている。
僕は目を凝らして動いている物が何なのか確かめた。
小人だ。
小人が5人で踊っているんだ。
よく見ると踊っているのは2人。
他の3人は楽器を持って演奏している。
踊りはどうやら何かの物語を表現しているようだ。
彼ら小人はかつては違う世界でいたのだが、その世界がとてもイヤになってしまって、この小人の世界へと導かれるように入ってしまった、という物語だということがわかってくる。
物語はどんどん進んでいく。
「前の世界は仮の世界だった。
こちらの世界は踊り歌い愛し合い、こんなに素晴らしい世界はない。
さあ、あなたも早くこちらの世界にいらっしゃい」
僕は誘われるまま、その踊りの輪の中に入っていく。
誰も驚かない。
僕を踊りの輪の中に入れてくれる。
「物語がまた新しく始まる」とギターを持った人が歌う。
僕は挨拶をして自分の踊りをみんなに見せる。
すると「誰かいるの?」と言って電気がついた。
僕も小人達といっしょに逃げた。
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