うちの裏庭で「ドスン!」という大きな音がした。
僕は急いで見に行くと小型のUFOがあり、中からとても美しい女の子が出てきた。
彼女は服の埃を払いながら僕の方を見ると
「初めまして。私、地球人だけが持っている恋愛感情というのを調べに来たの。あなたが実験台になってくれるのよね」
と言ってとびきりの笑顔を見せた。
僕はちょっとドギマギしていると
「ふーん、これが第一印象ってやつか。
あのね、あなた達は知らないと思うけど『恋愛』って宇宙では珍しいの。
だってこんな不合理で非生産的な感情を支えに子孫を作っていたら効率悪いでしょ。
でも、課題としては面白いなあと思って。
じゃあこれから二人で恋愛を始めるわよ」
と言うと高速回しで僕がラブレターを渡すところから始まって、
動物園デートや浴衣姿の彼女と縁日にいく夏の夜のデート、
真夜中の長電話、
ちょっとしたすれ違い、
満月の下での初キス、
雨の中、彼女が僕に泣きながら抱きついてくるシーンなんかを経験した。
はっと気付くと僕はもう彼女にすっかり虜になっていた。
彼女は
「ふーん、なんとなくわかったわ。協力ありがとう」
というとUFOに乗り込み宇宙へと帰っていった。
取り残された僕には大きな大きな「片思い」だけが残った。
0 件のコメント:
コメントを投稿